読書記録

積んである本を読んでいく。

父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。

Title

父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。

Abstract

難しい言葉が使われていない経済についての本です。読みやすい。読んでいてまるで経済の話じゃないのではないかと思える部分もあるがしっかり話がつながっていて面白い。経済の観点から、現代社会の問題点などにも触れていて考えさせられる内容だった。経済だけでなく生き方についても考えさせられる一冊。

Introduction

33歳になり、子供も2人できて一家の大黒柱でもあるのに経済のこと何一つ知らないのもよろしくないと思いこの本を手にした。2019年6月に購入し、積んでおくこと15か月。部屋を掃除していたら出てきた本。購入時、まだ母親のお腹の中にいた長男はすでに1歳を迎えている。「俺のミルク代は稼げるんだろうな?」という息子からのメッセージだろうか。ちょっと分厚い本で読むのに体力がいりそうな本ではあるが、きっと何かの役に立つと思いページをめくった。

Materials & Methods

総ページ数:248ページ

目次:
プロローグ 経済学の解説書とは正反対の経済の本
・目の前の混乱から離れて世界を見つめ直す
・資本主義を解き明かす
第1章 なぜ、こんなに「格差」があるのか?――答えは1万年以上前にさかのぼる
・なぜ、アフリカから強国が出てこなかったのか?
・地域内格差――金持ちは100万ドルを簡単につくれる
第2章 市場社会の誕生――いくらで売れるか、それがすべて
・ふたつの価値――経済学者はすべてを「値段」で測る
・世界はカネで回っている?
第3章 「利益」と「借金」のウエディングマーチ――すべての富が借金から生まれる世界
・悪魔が考えた「地獄」より残酷なこと
・富と競争――競争に勝つには借金するしかない
第4章 「金融」の黒魔術――こうしてお金は生まれては消える
・起業家はタイムトラベラー――未来から無限の交換価値をつかみとる
・歯車が「逆回転」しはじめる
第5章 世にも奇妙な「労働力」と「マネー」の世界――悪魔が潜むふたつの市
・狩人のジレンマ――全員で鹿を狙うか、ひとりでうさぎを狙うか?
・悪魔が潜む場所――「マネー・マーケット」とは何か?
・予言は自己成就する――もしソポクレスが経済の教科書を書いたら?
第6章 恐るべき「機械」の呪い――自動化するほど苦しくなる矛盾
・巨大企業にとっての「すばらしい新世界
・絶望を見せてくれるのは誰か?
第7章 誰にも管理されない「新しいお金」――収容所のタバコとビットコインのファンタジー
・誰も税金を払いたくなければ、どうすればいい?
ビットコイン――「1通のメール」がもたらした衝撃
第8章 人は地球の「ウイルス」か?――宿主を破壊する市場のシステム
・節度のない者は「愚か者」になる――駄目と知りながら競争を止められない
・未来のすべてを決める対決――「すべてを民主化しろ」vs「すべてを商品化しろ」
エピローグ 進む方向を見つける「思考実験」
・思考実験――君は理想の世界に行きたいか?
・占い師のロジック――私が経済学者になった理由

以上、Amazonより引用。

父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。

 

読み方:毎日1章ずつ読んでいく。

Results

読破までかかった期間:10日間
各章の長さにもよるが1章あたり1時間~1.5時間程度かかった。
タイトルの通り、非常に壮大でわかりやすく書かれている。かなり広い視点からで、経済についてわかった気になる本だった。文章はほとんど、お父さんが娘に語るような口調で書かれている。そのためとても理解しやすい。全8章+プロローグ+エピローグで構成されているが、各章の中でも細かく分かれているため途中離脱した場合でもリスタートしやすかった。また、一つ一つの文章が割と短いためとても読みやすく感じた。神話や映画に例えて話が構成されているため、経済の話ではあるが情景が想像しやすい。そのため難しくて何が何だかわからないという事態に陥ることがなかった。私のような経済初心者にちょうどいい本だと思った。

Discussion
経済について書かれている本ではあるが、堅苦しく書かれていないところがスゴイと思いました。
この本を読んだだけでミルク代ががっぽり稼げるようにはならないと思うが、今まで34年間経済を特に意識してこなかった自分にとって出会えてよかったと思う一冊でした。
現代経済の問題点を明らかにするため大昔に戻り、そこから、これから来るかもしれない未来の話をする。そして最後に「今どうすべきか」が語られる。1冊を通して話の構成が過去→現在→未来の話のように進んでいくところが、人類が歩んできた経済活動のストーリー性を感じることができて面白かった。話のつながりがスムーズであり、どんどんページをめくりたくなるような書かれ方です。
必ずしもこの本に書かれていることがすべて正解ではないかもしれないが、信じてみたいと思う説得力の強さのようなものも感じました。
どこかの章にも書かれていたが、これから機械や人工知能が発達していくと人間の仕事が奪われるかもしれない。しかし、機械が生み出した富を人間に分配すれば、人間の仕事が奪われるなどの危険性はなく、もっと豊かな暮らしができるのではないか。というようなことが書かれていた。
辛い思いまでしてお金のために働きたくないと思っている私にとって、この部分に関してはホントにこの本の通りになってほしいと思いました。
終盤は熱が入ってきたのか語り口調感が減っている気がしたが、エピローグでは語り口調が戻り一種の安心感のようなものを感じました。序盤の経済の成り立ちの話も興味深かったが、エピローグの筆者の考えがとても面白かった。最後の最後を詩で締めくくるところもおしゃれです。私もこんな文章を書ける大人になりたいと思わせる本でした。
経済についての内容でもあるが、生き方についても考えさせられる内容でした。この本を読んで、とらえ方によっては、お金というのは一種の呪いのようなものにも思えてきました。令和の時代は機械化や環境変化でお金に対する価値観がどんどん変わっていき、お金の呪いから解かれる日が来るのかもしれない。
子供たちが大きくなったら読んでもらおうと思う。
また積んでおこう。

オーディオブックも出てるので是非お試しあれ。

References